親子〜おやじの子育て in Beijing〜

チンくんの“何のとき”

“何のとき、サッカーあるの?”

 週一回、インター系のサッカー教室に通っている5歳のチンくん。
次の練習日が楽しみで、こんな問い合わせがよくある。

中国語では“什me(なに)”+“時候(時)”が“いつ”という意味になる。だから“何のとき”と話したチンくん。

こんな間違いは、日本人の大人はしない。チンくんは、自分の頭で考えて、この答えを導いてしまった。

“中国語と日本語。どっちが話すの楽?”と父ちゃん。
“・・・うーん、中国語かな”とチンくん。

北京に来て半年のとき。3歳8ヶ月で北京の幼稚園に入学させた。
駐在員でもない父ちゃんには、月6,7万円+αの費用が必要な日系幼稚園に入学させるほど、余裕はなかった。現地の幼稚園なら月謝約1万5000千円。中国語を全く話せない状態だったチンくんに、大変な試練が待ち構えていることもわかっていた。

幼稚園初日。前の晩に何十回も“你好(こんにちは)”“謝謝(ありがとう)”を練習させた。半ば強引に何十回と繰り返し言わせた。数ヶ月前、小泉首相の靖国参拝を発端に、幼稚園の近くでも大規模な反日デモがあった。父ちゃんも不安でならなかった。

通園初日。幼稚園の先生に迎えられたチンくん。
“先生にあいさつして。練習したでしょ。大丈夫”促す父ちゃん。
“・・・”すごい力で父ちゃんのズボンを握り締めるだけのチンくん。
何も言えないチンくんを教室に置いていった。

ここはチンくんの力で乗り越えていくしかないんだよ。自分にそう言い聞かせたが、後ろ髪を引かれる思いで、幼稚園のほうに何度も振り返った。

「ごめんね、チンくん」

帰り道、足取りは重かった。


“「何のとき」じゃなくて「いつ」や”と父ちゃん。

“あー、そやった”と笑ってるチンくん。

“サッカーは毎週土曜日やで”

“OK。だけ僕が日本人だよね”とチンくん。

中国語では“只有〜(〜だけ)onlyの意味”は文頭にくる。よってチンくんの発言がああなる。

“「僕だけが日本人」が正解。だけ、は後ろ”と父ちゃん。

“あー、そやった”とまた笑う。

来年、チンくんは小学生。父ちゃんは独自で日本語の学習カリキュラムを作ることを決意した。

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

 

トラックバック