親子〜おやじの子育て in Beijing〜

リポビタンD(デー)

面接試験です。
親子で挑みます。
この難局にちん君と父ちゃんはチームになりました(あんたら、おおげさー by 母ちゃん)。

ちん君は地元北京の小学校国際部に挑戦です。
中国語の面接試験です。

ちん君は「中国語には自信がある」と言います。
父ちゃんも「少しだけ自信はある」と強がって見せます。
しかし、中国語で言うなら、間違いなく、足を引っ張るのは父ちゃんでしょう。
いまだに「車」の“che”の発音ができないのですから・・・。

今日、突然、ちん君がまだ時計を読めないこと、お金の勘定ができないこと
が判明しました。

もしかしたら、面接で「何時ですか?」「100元でおつりはいくらですか?」なんて
質問が出るかもしれない。
一人、急に不安におそわれた父ちゃんは、臨時北京寺小屋を開きました。

             60/00
              12
     5511     1 5
   5010         210
  459      ・      315    ←ホワイトボード上に書いた時計
    408         420
      357     525
         630


最初に、
「1時間は60分、60分は1時間」を、大声で2人で10回繰り返しました。
次に時計の1から12の文字は、「〜時」と時間を示していることを説明。
時間を示す数字を緑色で書きました。
次に数字の間に赤い点を4つ書きました。そして、緑色の数字の外側に
赤い字で5、10、15、20・・・・・50、55、60と書きました。
次に、短針(時針)を緑色に、長針(分針)を赤色で書きました。

「〜時は緑色の数字を読みなさい。分は赤色の数字を読みなさい」

次に時計が60進法であることの説明です。
二人一緒に1から数字を数え始めました。1、2、3、4、5・・・・57、58、59!
そこで父ちゃんはちん君の声を掻き消すように大きな声で「0」と叫びます。

ちん君:はぁ〜、ちゃうで!60やんか。

父ちゃん:ちゃうねん。時計の世界では、59の次が0なんや。60=0なんや。

ちん君:・・・へー。変なの。

父ちゃん:時計さんのお顔には数字が書いてます。59の次は何や?

ちん君:60やけど0。ひゃひゃひゃ。

これで、60進法はクリアです。

ここからは、12時00分を「12時ちょうど」と言い換えながら、どんどん長針、短針の針の位置を書き換えて、読ませていきます。間違えば、そのつど、「緑色の短針は緑色の数字を、赤色の長針は赤色の数字と点をよみなさーい」と繰り返します。出来てきたら、次は、ちん君が短針と長針を緑と赤のペンでホワイトボード上の時計に書き込んでいく番です。

父ちゃん:3時半。つまり3時30分。いってみよう。

ちん君は、しばし考えながら書き込んでいきます。当然、間違えるのですが、そのときは、赤い針が一回りしているときに、緑の短針は緑の数字を一つだけ進むことを教えながら、修正していきます。「赤い針は背が高いしな、足が速いねん。短い針は小さいから足が遅いんや。父ちゃんとちんみたいなもんや」などとアドバイスもします。約45分の授業で、ちん君は、かなり時計を読めるようになりました。

お金の計算も、実際の人民元846元(100元6枚、50元4枚、10元3枚、5元2枚、1元26枚)を用意して、勘定をさせました。最初に「1枚で、一番たくさんお買い物できるのは何色のお金かな?」からスタートです。次に「50元何枚で100元?」「10元何枚で50元?」「じゃー、10元何枚で100元?」と実際の人民元で数えさせました。そして、一緒に計算すると、意外にすんなりと、計算できました。日本のお金は二桁大きいので、子供には難しいですが、其の点、100元が最大の中国元は、子供の勘定計算には最適の教材です。

これで、面接準備はOK。。。?とは、思いませんが、不安は一つ払拭されました。

先日、ちん君の幼稚園の運動会に顔を出したとき、幼稚園の先生に言われました。
「ピンインをもっと勉強させてください」

ベッドに入る前のちん君の歯を磨きながら、父ちゃんは言いました。
「ピンインと、英語のA,B,Cはちょっとちゃうで。もう勉強した?」

まぶたをパチリと閉じて応えるちん君。
しかし、明日からは、ピンインの勉強を一緒にすることにしました。
父ちゃんが作った、510本の発音VTRを搭載した中国語講座サイトをフル活用します。

父ちゃん:面接は絶対に突破するぞ!
ちん君:おうー。がんばるでぇ。

こころ一つに、チーム一丸となった
ちん君と父ちゃんです。

いっぱーつ!
親子プロジェクト 「リポビタンD(デー)」 がはじまりました。



コレ何?

アーチャオ2歳と1ヶ月と10日。
言葉を話しはじめた。
もちろん、日本語だ。

アーチャオ: パパ、コレ何?
父ちゃん:  イチゴのケーキだね。うまそうやなー。
アーチャオ: チゴー、これ食べたいー(ほっぺに両手を当てる)
父ちゃん:  (心の中で「あーかわいいー」)

アーチャオ: パパ、コレ何?
父ちゃん:  みかん。み・か・ん。言ってみ。
アーチャオ: かん!
父ちゃん:  ちゃうよ。み・か・ん。わかった?もっぺん、言ってみ。
コクリとうなずき、みかんを再び指すアーチャオ。
アーチャオ: コレ何?
父ちゃん:  先ほどから何度も説明していますように、みかんですが。(・・・・・あほちゃうか?)

ずずぅぅ、ずずずずぅー
夜、子供が寝たと思い、一人インスタントラーメンを食べていると、アーチャオが起きてきた。
ラーメンの入った鍋を指差し
アーチャオ: コレ何?
父ちゃん:  ラーメン。あげへんで。
横の椅子に登って腰掛けるアーチャオ。
ラーメンを食べた父ちゃんの口を指差し
アーチャオ: コレ何?
父ちゃん:  父ちゃん!
アーチャオ: ちゃう。コレ何?
父ちゃん:  口の中のもの?
うなずくアーチャオ。
父ちゃん:  ラーメン。もう食べたからないよ。
スープだけ残った鍋を指差すアーチャオ。
アーチャオ: コレ何?
父ちゃん:  鍋だけど、何か?
アーチャオ: ちゃう。
父ちゃん:  はいはい。ラーメンって言ってほしいんやろ?ラーメンよー、おいしいラーメン。
        ラーメンって言えたら、あげるよ。ラー・メ・ン。言ってみ。
        メンちゃうで。ラーつけてね。

にやりと笑う父ちゃん。
目を見つめるアーチャオ。

アーチャオ: ・・・ラーメン。

うれしそうなアーチャオ。
目をそらす父ちゃん。
まだ言えない、と思っていたが、とっても普通に言えている。

父ちゃん:  あー、あのー、もう食べたからないね。次な、次、次上げるしな。もう寝なさい。

鍋の底に残ったベビースターラーメンのようにコマ切れになったラーメンを指すアーチャオ。

アーチャオ: コレ何?
父ちゃん:  ・・・ラーメンだけど・・・
アーチャオ: ラーメン、これ食べたいー。
        コレ何?

最近、アーチャオの「コレ何?」がとても怖い。エンドレスに続く「コレ何?」である。





涙が一粒ポロッと・・・

4月です。
日本では入学式の季節です。
北京にも日本人学校があります。

ちん君の通う現地幼稚園でも、日本人小学校に入学する日本人のお友達4人が卒園しました。
ちん君は中国の小学校の国際部に入学するため、卒園は6月。小学校入学は9月。

ひとり、日本のお友達をみんな見送ったちん君の6歳の春です。

ちん君は、今日もいつものように、
朝、幼稚園の送迎車に乗り、夕方6時前に送迎車に乗って帰ってきました。
いつもと変わらぬ元気な顔で、声で家を出て、家に帰ってきました。
今日、幼稚園では仲のよかった4人の日本のお友達の中で、最後まで幼稚園に通っていた
女の子とのお別れがありました。明日からは誰もいません。

母ちゃんが聞きました。
「お友達の卒園、さみしくなかった?」

ちん君は、
「涙が一粒ポロッとこぼれた」
と言ったそうです。後で、母ちゃんから聞きました。

父ちゃんには、一言もそんなことを言わないちん君です。
父ちゃんは、家に帰ってきたちん君をいつものように
「今日は幼稚園楽しかったか?」
と言って迎えました。
ちん君はいつものように
「うん。楽しかったよ」。

その女の子からは、何かお別れのプレゼントをもらったようです。

家に戻ったちん君は、その女の子に電話をしました。
父ちゃんは横で聞いていました。

「プレゼントのシールありがとう」
・・・・・
「うん。小学校で勉強頑張ってね。勉強しないと、先生に追い出されるぞ」
・・・・・
「うん、うん、じゃ電話切るよ。またね、ばいばい」

父ちゃんが昔、昔そうであったように、
ちん君の6歳の春を、サクラの下で、小学校の体育館で、
お祝いしてあげたかったし、そのちん君の姿を見たかった。
実は、父ちゃんの心の中には、そんな思いがあります。

そして、ちん君の一生に一度の記念日を、
ちん君から、じいちゃん、ばあちゃんから
奪ってしまったような罪悪感がどこかにあります。

ちん君の思いを想像したとき、いろんな思いが重なって、
父ちゃんも心の中で、涙が一粒ポロッと・・・出てしまいました。

一番寂しいはずなのに、決してそんなそぶりを見せないちん君の姿に、
励まされたのは父ちゃんです。

何もかも覚悟の上で決めた北京ライフです。
現地の小学校国際部で学ぶことが、必ずちん君をたくましく大きくし、
それがよかったと思う日が必ず来ると信じて決めた選択です。

9月、君が小学校に入学するときは、
家族一緒に、一生に一度の記念日を、
ちん君の成長を喜び、
ちん君のこれからの人生を
祝いたいと願う父ちゃんです。

嫌な女に・・・

ソファでゴロリと眠ってしまった。
アーチャオの泣き声と、母ちゃんの「どうして叩いたの?ちんっ」の叱り声で目が覚める。

「どうして?」。問いかける母ちゃんに歯磨きをされながら、聞こえないふりのちん
アーチャオは頭に手をやり「ちーん、したのー」とべそをかいている。

ちんはどうやら母ちゃんには、ふざけた態度で通すようだ。

ソファから起き上がり、ちらり、ちんに目を向けると目が合った。
「よぅ、歯磨き終わったら、父ちゃんのとこ来いや」。
デスクの椅子に座りながらぼそりと“関西弁”で言い放つ。
こういうときの父ちゃんの言葉は、自分でも気になるぐらい柄が悪い。

洗面所に行ったまま、ちんは戻ってこない。
父ちゃんが洗面所に向かうと、洗面所でちんは突っ立て、父ちゃんのいるリビングを見ていた。
洗面所に5歩ほど歩み寄る父ちゃん。
下を向くちん
しゃがみこみ、「しばいた理由、あるんやろ。話聞くで」。

上目遣いで父ちゃんを見るちん。目が合う。

うっうっう、うー、うー。
ポロポロポロポロと頬に涙が伝う。
袖を握り締めて、涙をせわしなく拭くちん
泣き

父ちゃんの悪い口癖・・・
「男がそんぐらいのことで、泣くな」
の影響だ。涙を見せまい、泣き止もうと頑張るちん
ヒッヒッヒッヒ、と短い呼吸とともに、ちんの両肩が上下する。

このとき、父ちゃんはとっても反省した。
ちんにとって、父ちゃんはどんな存在か。痛いほどわかった。
小さいころの自分そっくりだ。

おやじが何よりも怖かった。
「男の癖に泣くな。悔しかったら・・・」
よく、そう言われた。
だから、涙をこらえるときに、激しい呼吸とともに両肩がヒックヒックする。
それをとめることが出来なくて・・・。
自分に悔しくなってくる。
そしたら、余計に悔し涙があふれ出る。
そんな思い出はたくさんある。


「ねぇ、ちん。父ちゃんはな、理由もなく、ちんがアーチャオを叩いたなんて思わないよ」
今度は目線を握ったちんの両手に向けて話す。
「理由があったんだよね。正直に言えばいいよ。ちんの気持ちを父ちゃんは知りたいだけだ」
顔の涙ぬぐってやると、少し呼吸が落ち着きだした。
「いいよ。急いで言わなくても」
目を見る。ちんも、やっと父ちゃんの目に視線を向けた。

「あのね、」
ふうっ、と一呼吸つくちん
「アーチャオが母ちゃんがお友達から借りた本(雑誌)をね、」
また、一呼吸おいて、ポツリと「破ったの」。
「はじめ、足を置いていて、『だめだよ』って足をどけようとしたら、
本をけって破ったん。だから、頭を叩いた」
言い終わると父ちゃんの目をじっと見つめるちん

「そうか。わかった。アーチャオはいけないね。
でも、ちんには賢い頭がある。日本語も、中国語も話せる
賢い頭やんか。言葉でアーチャオに教えてあげないと。叩いたの
は、やっぱりいけないと思うな、父ちゃんは」
頭を両手でなでてやると、『コクリ』と、ちんはうなずいた。
「理由を教えてくれてありがとう」
ぎゅっと、抱きしめてやる。

あー、ちんは父ちゃんがこんなに怖かったんだ。

そして、雑誌の破れを確認し、雑誌を手にアーチャオの元へ。
アーチャオは父ちゃんの顔を見るなり
「パンっ、ここ、ちん」と叩かれた頭に手を乗せて訴えかけてきた。

雑誌の破れた部分を見せて、「誰、これ破ったの?」とたずねる父ちゃん。

アーチャオは間髪いれずに「ちんっ!」と、すごい笑顔で兄ちゃんを指す。

「うそや。お前やろ。アーチャオや。ちゃうか?」と父ちゃんは指でアーチャオの胸をトントン。
「これ破ったから、兄ちゃんにここ叩かれたんやろ?」と、頭をポンポンとする。

約5秒・・・観念したか、笑顔は消えた。次の瞬間、

あ”、あ”、うわーん”””

泣き出すアーチャオ。でも、涙が出ていない。ちんのあの涙を見た後だけに
“うそ泣き”がバレバレだ。
しかし、怒れない。2歳ということもある。
それ以上にアーチャオは知っている。

「私が泣いたら、もう父ちゃんは私を叱れない」と。

「このチビめー」。でも、ウルウルの目で見上げられると・・・怒れない。

ちんが父ちゃんをじっと見つめている。

「いけませんよ。破ったりしたら。だめだよ」
と泣いたふりのアーチャオの目を見て言い聞かせた。

ちん、これでアーチャオはわかったと思うよ。こういう風に言葉で教えるんだよ。わかる?」。内心、敗北感でいっぱいな父ちゃん。

そんな内心を見抜かれたか・・・じっと父ちゃんを見つめるちん
3秒ほど間をおいて、小さくうなずいてくれた。

一部始終を見ていた母ちゃんの“ケラケラ”笑い声が部屋中に響いていた。

うそ泣き・・・女の武器を使う2歳長女に、
「嫌な女になるんじゃねーか」と将来に不安と危機感を抱く父ちゃんである。