親子〜おやじの子育て in Beijing〜

“私立”北京寺小屋学校開校

開校しました。

先生は父ちゃん。

生徒はチンくん。

とりあえずは漢字の勉強からです。

朝10時から一時間目。

日本語の読み方を覚えましょう。中国語との違いを確認しましょう。ついでに英語も。


無題

馬だけ、日本語と中国語の漢字が違う。あとは、同じ。

木だけは、中国語では“树”と言うね。

日本語だけの授業のつもりが、チンくんのリクエストでこうなった。

上6つの漢字は幼稚園ですでに学習済みだそうだ。日本語の漢字に音読み、訓読みがあることに、

目をくりくりさせて驚いていたようだ。しかし、その事実は抵抗なく受け入れたようだ。

2時間目は算数。

先ず、父ちゃんが得意だった図形から。

おもちゃの積み木を利用して、○、△、□から説明。

父ちゃん:これ○なーんだ? 

チンくん:まる  

父ちゃん:正解。でも算数では「えん形」って言うんだ。

父ちゃん:これ△なーんだ? 

チンくん:しかく  

父ちゃん:正解。でも算数では「しかく形」と言う。

チンくん:最後に「けい」ってつけるの?  

父ちゃん:鋭いね。正解。やるねー。

父ちゃん:で、どうして「〜かくけい」って言うのかな?  

チンくん:知らない。

父ちゃん:知らないって、いいねー。もうすぐわかるよ。

      図形の「かど」を算数では「角(かく)」って言うねん。

      △これは、角が3つあるから「さんかくけい」。

      □これは、角が4つだから「四角形」、じゃ、角が5個あったら、何?(ボードに五角形を描く)

チンくん:ごかくけい?  

父ちゃん:正解。やるね。驚いたな。

ってな具合に、六角形まで勉強。

そのあと、百マス計算で仕上げ。+11から15までのマス計算もした。

 

3時間目は体育。

スポーツクラブまで自転車にタンデムして、家族四人で泳ぎに行く。 

18メートルのプールを何度かクロールするものの、久しぶりの水泳に、泳ぎは下手になっていた。

チンくん:あかん。今日は泳げへんから、水の中ででんぐり返りするは。

何度もくるくる回っていた。

4時間目はチンくんのリクエストに応えて、カタカナの授業。

なんと、チンくんは46文字中29文字しか書けない。

「ツ」と「シ」、「ソ」と「ン」の違いを説明。

5時間目は動物図鑑から題材をひとつ選んで、父ちゃんが解説

チンくんが選んだ動物は「ヒョウとチーター」

チーターは世界で一番足が速い。時速110キロだ。

人間の2.5倍の速さで走るんだよ。アフリカに住んでるね。

ヒョウは、木登りが上手で、捕らえた獲物は樹上ま持ち上げて食べるんだよ。

で、みんな猫の仲間。それをネコ科の動物って言うんだよ。

次回は、チーターとヒョウの絵を描いてみてね。

と伝えて、授業終了。

 

こうして、初めての寺小屋は終わった。

結構、楽しいけど、授業をするって難しい。学校の先生は一度に30人以上教えるんだから、

「やっぱり先生って、すごいなぁー」と再認識した父ちゃんでした。

チンくんは、授業というよりは、一日中、父ちゃんがあいてしてくれることがうれしかったようで、

決して上手じゃない授業でも、一生懸命聞いてくれていたし、質問もよくしてくれた。

父ちゃんがチンくんに楽しませてもらった一日でした。

 

 

 

父ちゃん教室“北京寺小屋”

 親の勝手で連れてきた北京。
 親の勝手で入園させた現地の幼稚園。
 
 文句も言わず、その環境を受け入れ、乗り越えてきたチンくん。

 先日、チンくんの幼稚園で、日本人の友達は一足早い卒園式を迎えた。
 日本人小学校に入学するためだ。
 チンくんは、日本人ではただ一人、中国のお友達の中で見送ることになった。

 親の勝手で、チンくんは現地小学校に9月入学予定となった。
 理由は、中国語、英語をさらにきちんと勉強するためだ。
 チンくんは日本人小学校に行きたいとも言っていた。
が、中国語も英語も勉強したいとも言った。
 勝手な親が、後者の選択を後押しし、結局、外国語習得の機会が確実な環境に決めた。

 友達とお別れするのはつらい。
 そんな思いを抱えながらも、チンくんは黙って自分の道を歩いているように見える。

 “外国語の基礎を今のうちに、この環境にいるうちに学ばせたい―”

 間違いなく親のエゴだ。
 だから、エゴを通した父ちゃんは、親として、チンくんに責任を果たさなければならない。

 今年に入ってから、父ちゃんは一人でお店に行っては、
いろんな学習用具や事務用品を購入している。

 ホワイトボード  専用の4色水生ペン
 専用の板消し2つ 大き目の定規セット

 漢字ドリル
 国語ドリル
 算数ドリル
 英語ドリル

 母ちゃんも日本の小学校の教科書を準備してくれている。
 父ちゃんは仕事の合間を見つけては、パソコンで教材を作っている。

 百マス計算プリント 図形大きさ比べプリント
 日中英の5種類の文字を使った名前練習プリント(家族4人分)
 パソコン、電子辞書の文字入力方法プリント

 今、作成しようとしているのは、“カメラの使い方プリント”だ。

 母ちゃんは最近大きなものを中古で買ってきた。

 電子ピアノ

 家には、学研の図鑑もそろっている。

 父ちゃんは、今ある教材、アイデア素材などを使って、あることを考えている。
 父ちゃんが先生の“北京寺小屋”だ。

 ホワイトボードをリビングに設置して、授業をする。
 パソコンでポケモンのサイトを見つけたり、いろんな調べものをするのも授業だ。
 体育の授業もある。スポーツクラブで水泳。マイケルジャクソンのVTRを使ったフリーダンスも。
 図工の時間は、おおきな紙にとにかく好きなだけ絵を描く。

 寺小屋は毎週日曜日。
 授業は午前と午後。
 
 学校の先生のように上手な授業はないだろう。
 でも、父ちゃんだからできる個性的な授業をしよう。
 それで、チンくんが楽しく日本語の勉強ができれば、
 君に少しでも父ちゃんなりの責任を果たすことができると考えている。

 ピアノだけは母ちゃんに教えてもらえ!
 
 君がもう少し大きくなるまでは、
 “一緒に楽しいことを考えて、真剣に楽しいことをしよう”
 
 それが父ちゃん教室“北京寺小屋”の校訓だ。

 

 

チンくん、6歳の“大丈夫”

 意味のない言い訳だが、ここ数ヶ月忙しくて、チンくんとの時間が減っていた。
 事務所にこもりっぱなしで、朝、幼稚園への見送り、夕方のお迎えもまったくできていない。
 晩御飯の時間に、半時間ほど話をするだけ・・・。

 悪いことしてるな・・・そう思っても、仕事でやっかいな問題が次々と起こる。

 1月に6歳になったチンくんは最近、そんな父ちゃんに自らの成長ぶりを教えてくれた。

 ある日曜日、事務所で仕事をしていると一本の電話がかかってきた。
 
 “もしもし、父ちゃん、お友達のヨウジーユエンの家に遊びに行きたい。
  テレビは飽きた。おばちゃんに電話するから、電話番号教えて。”


 チンくんから初めて受けた電話だった。

 誰に電話のかけ方教えてもらったの?なんで事務所の電話番号知ってるの?

 驚き、しばらく返す言葉を失った父ちゃん。
 ヨウジーユエンは同じマンションの別棟に住む、チンくんと前の幼稚園で同じクラスだった
 中国の女の子。その子のお母さんとは、出会えばよく立ち話をするし、ケータイ電話番号
 も知っている。

 “電話番号教えてもいいけど、大丈夫なのか?ヨウジーユエンの部屋知らないでしょ”と、父ちゃん。

 “うん、知らないけど、大丈夫。教えて”と言い切るチンくん。

 “電話、いつからかけられるようになったんや”とぶつぶつ言いながら、電話番号を教えた。

 しばらくして、部屋に電話をかけても誰も出ない。
 夕食前に家に戻ってみると、母ちゃんとアーチャオがいる。チンくんの姿はない。

 急いで、ヨウジーユエンのお母さんに電話をかけると、受話器の向こうから、
チン君と女の子のはしゃぐ声が聞こえてくる。

 “すみません。息子が勝手に押しかけてしまいましたね”と父ちゃん。

 “いいのよ。ちゃんと連絡してきたわ。遊びに行っていいですかって。
  娘も大喜びよ。もうご飯の時間ね。部屋まで送っていくわ”と、明るい声で向こうのお母さん。

 “ありがとうございます。でも、自分で帰ってこれると思います。一人で帰るように
伝えてください。次は娘さん、我が家に遊びに来てくださいね”と父ちゃん。

 “そうね。自分でここを探してきたんだし、チンは一人で帰れそうね”と向こうのお母さん。

 で、15分ほどしてチンくんは何食わぬ顔で部屋に帰ってきた。

 母ちゃんも電話のかけ方なんて、チンくんには教えていない、という。
 もちろん、父ちゃんもだ。

 “いつも母ちゃんや父ちゃんが電話してるの見てるよ。知ってるよ”とチンくん。

 で、ヨウジーユエンのお母さんの携帯電話に電話をかけて、マンションの棟の番号、
 部屋番号を聞いて、メモに書いて家を出たらしい。

 ここのマンションは計8棟、計1500部屋ぐらいある。

 “よく、部屋見つけたな”と父ちゃん。

 “門番のお兄ちゃんに聞いたから、大丈夫だったよ”

 マンションの各棟の門の前には、若い保安員が24時間態勢で立っている。

 “帰るとき、きちんとお礼言ったか?”と父ちゃん。

 大丈夫、言ったよ。シィエシィエ(ありがとうございました)、ザイジィエン(さようなら)って”。

 まだまだチビ助のチンくんが“大丈夫”と当たり前のような顔つきで答える。

 中国語で大丈夫とは、身の丈170cmはある「一人前の男」という意味だ。 

 ずいぶんと生意気になってきたなーと感じつつ、父ちゃんは最後に

 “部屋はきちんと片付けて帰ってきたか?”

 “・・・あ、してない”とチンくん。

 “次からはきちんと片付けはしないといけないよ。もちろん、毎日、自分の部屋もだ”

 ばつが悪そうに、“はーい”と父ちゃんの顔を見上げた。

 身長120センチの君の“大丈夫”ぶりに、6歳の成長を感じた出来事だった。
 子供の成長はいつも、親の想像よりも二、三歩前を進んでいる。